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高品質エアブリーザーの活用

カテゴリー:オイル汚染管理

 

水分汚染から機器設備を守る

はじめに

オイルの汚染管理にあたっては、それぞれの機器や環境によって異なる汚染の種類を理解した上で、効率的かつ適正な対応が求められる。中でも水は、固体粒子に続く2番目に有害な汚染物質とされる重要な管理対象である。油中に多くの水が存在すれば、結果として、機器の寿命は短くなる。
 本稿では、水分汚染のメカニズムと、その及ぼす影響について整理し、どのような対策が有効であるかを述べていく。
  
  

水分汚染の基礎知識

油中に取り込まれた水は、三つの形態に変化することが知られている。完全にオイルに溶けた水は溶解水となり、分離した水は自由水(遊離水)となる。自由水がオイルと共に、激しいせん断状態に置かれると、水は小滴となり、添加剤や汚染物質の助けを得て油中にエマルション(乳化水)の状態を形成し安定する。エマルションは、加水分解や酸化を促し、油膜強度を下げ、摩耗の要因となる。また、添加剤の一部と反応し、沈殿物や化学的に有害な副生成物を形成したり、反応性金属に対して触媒となり、酸化を促進する。

 

アンローダー図1.png
(図1) 左:新規グリース     右:水の影響で乳化したグリース
 
 

水が添加剤に与える影響

油中の添加剤は、様々な要因から減少し、最終的には枯渇状態となってその役割を果たせなくなる。
摩耗調整剤は、接触している金属表面と反応し、境界潤滑膜に似たセッケン系の保護膜を生成し、徐々に消耗していく(擦り接触現象)。また、一部の添加剤は固体粒子に付着するため、オイルろ過の際に汚染粒子と共に除去されたり、リザーバー/タンクの床に沈殿したりする(粒子洗浄)。極性を帯びた添加剤は、油中の水滴にも付着するため、粒子と同様、水分除去の際に水に付着したまま除去されたり、時として沈殿する(ウォッシュアウト/水洗現象)。
水の存在は、固体粒子汚染よりさらに複合的な影響をオイルに与えると言えよう。
  
   

水分汚染の管理目標値

 水分汚染管理の第一歩は、油中の水分の適切な目標管理値を設定することから始まる。機器設備の水に対する感度と経済的判断によって、この管理値を決定することが重要である。水分汚染の管理によって得られる利益は、製造の対価と同様、極めて大きいと位置づけられている。
某研究機関の実施した研究によると、流体潤滑下のジャーナル軸受は、油中の水分汚染度が半減すると、摩耗の速度は上限約20%減少したと報告されている(図2)。例えば、平軸受の潤滑油中の500ppmの水分を250ppmに半減させると、軸受の寿命は、平均値で1,000時間から1,200時間になった。同様に、500ppmの水分を125ppmにまで減少させると、1,000時間の軸受寿命は、ほぼ1,500時間にまで延長したとしている。
 

  

水がジャーナル軸受に与える影響
(図2) 水がジャーナル軸受に与える影響
      
       

水分汚染の管理

オイルを水に汚染させない最善の方法は、オイルから水を完全に隔絶することにある。水は、機器設備に付帯する油溜め/タンクと、機械をつなぐ境界領域や、密封部分の隙間から侵入してくる。

水の管理に必要なポイントを以下に示す;
  1. 新油を適正に貯蔵すること。
  2. 高品質のシャフトとシールを用い、きちんと保守すること。
  3. 機器設備を洗浄する際は、シャフトに水がかからないようにし、通気口やブリーザーに栓をすること。

       可能なら、シール部分の高圧スプレー洗浄は避ける。
  4. 蒸気や加熱・冷却水システムのシールをしっかり保守すること。
  5. オイルの油溜め/タンクのヘッドスペースから湿分を除去する器具を用いる。オイルの貯蔵容器には、

    必ず乾燥剤と一体化したブリーザーを使うこと(図3)。

  

  

乾燥剤入りエアブリーザーの適用例    

 

乾燥剤入りエアブリーザーの適用例

(図3)乾燥剤入りエアブリーザーの適用例 

 

ヘッドスペースの管理

ヘッドスペースとは、密閉した機器内部の上部空間を指す。この空間の清浄度と乾き度を安定させることによって、貯蔵されたオイルは適正に管理される。一見、単純な行為のようであるが、機器設備の設置されている環境は多様であり、屋外、屋内のみならず、高温、低温、多湿、非清浄な周囲環境など、それぞれの時状況に合わせて最適化するのは簡単ではない。
機械設備に侵入させたくない全ての物質を遮断する、もっとも安価で効果的な方法は、ヘッドスペースを適切に管理することにつきる。固体汚染物質と水分の締め出しがそのターゲットである。
稼動時の機器設備は、一定のマシンサイクルに沿ってオイルを循環・消費する。油溜め/オイルタンクのオイルレベルは、常にわずかながら上昇・下降し、結果としてヘッドスペースの空気が外気へ吐き出され、吸い込まれる、といった動作が繰り返される。この現象は、欧米では「機械が呼吸する」と、しばしば擬人化して表現される。エアブリーザーは、機械の呼吸に必要な“仕掛け”であるが、固体汚染物質や水の締め出しも、このエアブリーザーの選定にかかっている。
 
figure4.jpg 図4に、密閉されたタンクに使用する拡張チャンバーを示す。拡張チャンバーは、完全に密閉したシステム環境下で機能する。適切なチャンバーサイズを選択すれば、この機器はシステムが空気を吐き出した時に拡張し、空気を吸い込む時は縮小する。外気がチャンバーを通して入ってくることはない。しかし、ヘッドスペースにすでに汚染物質が存在していたら、除去するための機器が設置されない限り、汚染物質は留まり続ける。導入前に、十分検討する必要がある。逆に、ヘッドスペースがドライ状態であれば、オイルも乾き度が高い。油面上の空気が乾いていれば、あたかも乾燥剤で出来た毛布のように、空気が油中の湿分を吸い取る。
湿分の高い空気から水を確実に除去するため、開放口のない乾燥剤入りブリーザーを採用するのが最善であるが、メンテナンス戦略や期待される経済効果を検討し、適切な製品を選択する必要がある。

(図4)拡張チャンバー

    
    
  

ハイブリッド型ブリーザーの台頭

近年、乾燥剤入ブリーザーには、複数の機能を有する「ハイブリッド型」と言われる製品が登場している。
例えば、平均的な使い捨てタイプの乾燥剤入りブリーザーの欠点としては、それらがシステムに搭載されている間、常に外気に対し、開放しているという点にある。システムの稼動状態(短時間停止、完全停止、アイドリング状態)に関わらず、これらのブリーザーは、機器のヘッドスペースと、周辺の雰囲気の双方から影響を受け続ける。ヘッドスペースに湿分がなければ、周辺の環境からの湿分吸収が始まる。システムに導入された乾燥剤入りブリーザーは、特別な機能がなければ、システムが稼働してもしていなくても、常に湿分を吸収する。システム周辺の湿分のレベルや導入されたブリーザーの状態にもよるが、乾燥剤は予定外に寿命が尽きる可能性もある。極端な高湿あるいは大容量の水洗が実施されている環境下では、開放型の乾燥剤入ブリーザーは、数日で寿命が尽きてしまうことがある。ブリーザーの購入価格が安くても、寿命が短ければ意味を成さない。
ハイブリッド型ブリーザーは、通気以外にも複数の機能を兼ね備えている。通常は非開放であり、外気の取り込み・吐出能力が高く、微細な固体粒子や湿分の除去能力に優れている。これらが使い捨て型のブリーザーと最も異なる点は、開放口がないことだ。機器設備が停止あるいは呼吸していない時は、乾燥剤はヘッドスペース側には晒されるが、外気からは遮断されている。すなわち、湿分はシステムの呼吸につれ除去され、呼吸していない際は、ヘッドスペースから除去される。
  

(図5) ハイブリッド型エアブリーザーの外観

  

Hydroguard.jpg

 

KLsirise.jpg

左:Hydroguard 右:KLシリーズ

   

ブリーザーを通常、非開放状態で維持するため、ヘッドスペースの総容量の小さな変化に対応させる目的で、拡張チャンバーが統合されているタイプもある(図5 左)。

もしシステムから吐出される空気の量が多ければ、過圧と真空状態を開放するリリーフ弁を、適切な空気の流れを維持するために採用するとよい。
また、外気吸入口にチェックバルブを設け、システムが静止している際は外気を完全にシャットアウトする機能を有した高機能ブリーザーも登場している。この「KLシリーズ」(図5 右)は、ステンレス製のセンターシャフト構造で、高湿分環境や振動のある現場に最適な堅牢構造となっている。

   

まとめ

まとめとして、新規にブリーザーを導入したユーザーが経験した実例を紹介する。
彼らは、各種ブリーザーを検討した結果、価格の安価な使い捨てブリーザーを導入することを決めた。その理由は;
 1. 高品質ハイブリッド型ブリーザーの半額で導入できた。
 2. 使用するシステムが実際どのような環境(ろ過された空気)を要求しているか、ユーザーの知識が十分ではなかった。

結果として、そのブリーザーは数日間で使用不能となった。もともと、周囲環境の湿分が高く、結果として添加剤のウォッシュアウト現象(前述)が起き、リザーバー中のオイルが制御不能に陥った結果、自由水の発生や乳化が進行していたからである。
    

<参考文献>
 1)Schatzberg, P. and I. Felsen. "Effects of Water and Oxygen During Rolling Contact Lubrication.

  " Wear, Vol. 12. 1968.
 2)Rowe, C. "Lubricated Wear." CRC Handbook of Lubrication: Theory and Practice of Tribology,

   Volume II. Ed. E. Booser, 1984.
 3)Rothwell, N. and M. Tillmin. The Corrosion Monitoring Handbook. Kingham,

   Oxford, UK: Coxmoor Publishing, 2000.
 4)Smolenski, D. and S. Schwartz. "Automotive Engine Oil Condition Monitoring."

   CRC Handbook of Lubrication: Theory and Practice of Tribology, Volume III. Ed. E. Booser, 1994.

 

     

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